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zoom RSS オグリキャップ初七日 流浪のサラブレッド 罪深きアイドルとの別れ

<<   作成日時 : 2010/07/10 22:18   >>

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今の30代、40代の競馬ファンにはオグリキャップをきっかけに競馬に足を踏み入れた人が大勢います。かくいう僕もオグリがいなかったら競馬とはご縁が無かったかもしれないという「オグリ世代」の一人でした。


2010年7月3日にそのオグリキャップが生涯を閉じたというニュースが列島を駆け巡り、大好きな馬と別れる悲しみと20年という歳月の流れを改めて感じ、この1週間はセンチメンタルな気分に駆られてしまいました。
オグリをきっかけに競馬の世界にどっぷりと浸かってしまった人を大勢つくったという意味で、オグリはハイセイコーと並んでもっとも罪深いサラブレッドの1頭かもしれません。


オグリキャップ号が死亡
有馬記念を二度(1988年・1990年)優勝するなどGIを4勝し、現役引退後は優駿スタリオンステーションにおいて種牡馬として供用され、種牡馬引退後も同所にて繋養されていたオグリキャップ号(牡・25歳)は、7月3日(土)優駿スタリオンステーション(北海道新冠郡新冠町)で事故のため死亡したとの連絡がありましたので、お知らせいたします。

JRAサイトより


オグリキャップは地方・中央合わせて通算32戦22勝。重賞12勝でG1レースを4勝、当時の歴代最多獲得賞金に年度代表馬など、数々の輝かしい足跡を残したスターホースでありながら、その現役時代はさすらいのジプシーとでもいうような数奇な運命を辿った馬でした。

デビューの地は地方競馬の笠松競馬場。この小さなローカルコースでデビューしたオグリはその生涯を笠松で過ごすはずだった馬ですが、その能力を買われて現馬齢表記で3歳の春に中央へと移籍しました。

さすらいのジプシーと呼んだのは地方の厩舎から中央の厩舎へと移籍したことだけではありません。これだけの名馬でありながら、地方・中央合わせて実に9人もの騎手がオグリに騎乗しました。地方時代の3人はともかく、大活躍をして中央で連戦連勝の快進撃を続けていた時にも騎乗する騎手は不安定でした。

G1を3つも4つも勝つような名馬なら、よほどのことが無い限り主戦は一人の騎手がずっと乗り続けることが普通です。しかし、オグリの場合は一人の騎手に決めることができなかった。なぜなら3歳時の主戦を務めた河内騎手は同い年のサッカーボーイと重ならない時だけの約束で、2頭が揃った88年の有馬記念ではオグリではなくサッカーボーイを選びましたし、その河内騎手が乗れない時の代打だった南井騎手にもタマモクロスというお手馬がいたのでこちらも騎乗できず、代打の代打で岡部騎手が騎乗することになりました。

タマモ引退後の4歳時は6戦全て南井騎手が騎乗しましたが、この時も翌年の大レースでは1つ年下のバンブービギンに騎乗するからという理由で1シーズン限りのコンビ。5歳春は当時若手だった武豊と1度きりの約束で安田記念に出走するも、次の宝塚記念では故岡潤一郎騎手が騎乗。

ラストシーズンとなる5歳秋は3戦する予定で増沢騎手とコンビを組みましたが成績不振で2回きり。最後の有馬記念で再び武騎手が手綱を握ってあのラストランが生まれたという訳です。中央だけでも6人の騎手の間を行ったり来たり、あれほど活躍していながらいつも1番に選んでもらえなかったというのは不思議でした。

替わったのは厩舎や騎手だけではありません。所有したオーナーも地方競馬時代の小栗氏、中央移籍当初の佐橋氏、その後にオーナーとなった近藤氏と3人います。これも海外なら珍しくありませんが日本の超一流馬としては稀なケースです。

最初のオーナーには当時まだ中央競馬の馬主資格が無かったこともあり、中央移籍に伴ってオーナーが替わりました。ところがその二人目のオーナーに脱税疑惑などが報じられ、馬主資格がはく奪される恐れが発覚。ここでやむを得ず3番目のオーナーに金銭トレード。後に明かされたところでは2年間で総額5億5000万円で譲渡されたといいますが、ビジネスライクな世界の馬主さんたちと違い、情緒的な競馬関係者の多い日本で厩舎、騎手、馬主がこれだけ転々とするのは珍しいケースです。


余談ですが3人のオーナーの中で一番儲かった人は誰か?
最初のオーナーの時は12戦10勝という見事な戦績でも、所有したのは笠松時代だけですので獲得賞金は2千万円ちょっと。譲渡した後もオグリの名付け親としてたびたびテレビにも出演しましたが、数百万円で購入してトレードした際の売却価格は2000万円程度とされ、悪くないどころか稼ぎとしてはけっこう美味しい部類に入りますが、その後の活躍と比べるといささか見劣りする稼ぎです。

3人目のオーナーは2シーズン所有でのべ11戦5勝でG1を3勝してG2も2勝。この間の獲得賞金は5億円以上になるはずですが、賞金は全額オーナーのところに入る訳ではなく、税金に騎手や調教師に渡す進上金などを引くと獲得賞金の60%くらいがオーナーの取り分と言われています。これだけでもかなりのものですが、なにせ2年で5億5000万円という高額のレンタル料なので全然モトは取れておらず、大幅な赤字だったとも語っています。

他の2人に対して2番目のオーナーは凄いのひと言。重賞6連勝を含む9戦7勝というオグリの全盛期に所有していて、2000万円で譲り受けた後に4億近くは稼いでいるでしょう。
しかも、3番目のオーナーへの譲渡は引退後に所有権を戻す契約になっていたようです。ということは、引退後に総額18億円ものシンジケートが組まれたオグリの売却益もこの2番目オーナーに入ったことになります。

ダメ押しに、日本全国で飛ぶように売れたオグリのぬいぐるみを販売したのもこのオーナーの会社とか。賞金で数億、種牡馬としての売却で数億、グッズ販売で数億。しめて数十億はオグリで稼いだと言われる2番目のオーナーが断トツで儲かったと推測されます。でも、たとえ儲けてはいなくても、他の二人だってお金で買えないプライスレスの価値を手に入れた幸せ者であることには違いありませんよね(笑)。



閑話休題。オグリのラストランとなった90年の有馬記念は有馬の歴史上で屈指の「凡戦」であったという評価はある意味で正しいと思います。同じ日に同じ条件で行われた900万下のグッドラックハンデよりも遅い勝ちタイム(2分34秒2 条件戦は2分33秒6だった)。改めてレースを見ると、ほとんどの馬が折り合いを欠いて掛かっているほどの超スロー。しかし、異常なほどのスローペースだったからこそ、ピークを過ぎて衰えたオグリでも流れに乗ることができたので、そんな運の強さもまたオグリの持って生まれた天性の資質と言えます。

生まれてきた時には足が曲がっていて競走馬になれなかったかもしれない馬がデビューできたことも奇跡なら、笠松で育った馬が中央に移籍し、大レースに出走出来たことも奇跡。奇跡のラストランではなく、オグリの存在そのものが奇跡だったから、いっそう最後のレースが輝いて見えたのかも。

また、最後の騎手が武騎手だったことも絶対に見逃せないポイントです。武騎手はオグリのライバルであるスーパークリークに騎乗していた際にオグリを倒そうと徹底的に研究した結果、手前を替えるのが下手だという弱点を見抜いて天皇賞で封じた経験がありました。そんな武騎手だからこそ、最後の有馬記念でスムーズに手前を替えさせることに集中し、うまく走らせることができたという後日談を聞き、あのラストランは奇跡ではなく関係者の努力によって生み出された必然の勝利だったと改めて知ることになりました。

いつも全力で歯を食いしばって走り、自らの力で運をたぐり寄せて熱狂的な風を巻き起こしたオグリキャップは、種馬になってすぐの91年に原因不明の奇病で生死の境をさまよい、病を乗り越えた後も中央での重賞勝ち馬は1頭も出すことができませんでした。
現役時代の華々しい活躍とは裏腹に種牡馬としてはあまりにも寂しい成績でしたが、皮膚がんなどを発症して早くに亡くなることの多い芦毛の馬としては、25歳というオグリの年齢は異例の長寿だそうです。波瀾万丈の生涯を閉じて今頃はゆっくり眠っていることでしょう。お疲れ様でした。


僕が考えるオグリのベストレース 89年のマイルチャンピオンシップ




行きっぷりが悪くてずっとおっつけ通しのオグリの横を完ぺきに折り合っているバンブーメモリーがスーっと上がっていきます。勝負所でも手応えの悪いオグリと全く馬なりのバンブー。スタートからゴール前の50M、いや30Mまで完全にバンブーの勝ちレースでしたが、最後の30Mだけで勝ってしまったオグリの底力は本当に凄いと唸るしかないレースでした。レース後の勝利騎手インタビューで、南井さんの号泣するシーンを思い出すと今も胸が熱くなります。







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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
お馬さん音痴の私でも「オグリキャップ」の名前と業績は良く知っています。
波乱万丈の25歳だったんですね。
マチベーさんの青春が一つ消えてしまいましたね。
オグリの人生に乾杯!

2010/07/10 23:53
芯さんこんにちは!レス遅くなりましたがコメントありがとうございます!
>マチベーさんの青春が一つ消えてしまいましたね。

オグリがいなければ僕がブログに競馬ネタを書くこともなかったでしょうし、馬を見に行くこともなかったでしょう。そういう意味では恩人でもあります。
見た目の美しい馬ではなかったけど、とても愛嬌があって親しみの持てる馬だったからあれほどのフィーバーを巻き起こしたんだろうと思います。本当に波瀾万丈の馬でした。ゆっくり眠って欲しいですね。
マチベー
2010/07/13 15:05

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